「日本料理」で検索しました。
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「たまさか」は丸の内の気軽な和食店だ。 厨房は、食器を洗ったり下準備をする所と、仕上げをする所の二つに分かれていて、後者をカウンターが両面から取り囲むような作りになっている。二種類あるコースの内、皿数の少ない方を選んだ。 先付けの「海老芋とあんぽ柿白和え」は柔らかな食感。 椀の「黒海苔真丈」は、微かに磯の香りがする。 お造りは堅実。刺身としては珍しいハタも有った。 蒸物の「香箱蟹 蕪蒸し」は優しい食感。 八寸に印象的な品が有った。鮟肝にレーズンバターを練り込んだ品は、適度に濃厚でネットリとした食感。これは酒を呼ぶ。合鴨も美味しい。 鍋物の「牡蠣鍋 粕汁仕立て」は、酒粕の微かな甘み。 締めの「天麩羅せいろ」は、専門店並みの味。 甘味の「大納言最中」は、優しい甘さ。 丸の内ブリックスクエアという立地を鑑みると、料金は安め。
2021/12訪問
1回
「いち太」は青山の和食店だ。 カウンターとテーブル2席。カウンターは焼物や盛り付けを行ない、それ以外の調理は隣の厨房で行なう。夜2回転性の2回目に臨んだ。定刻に着いたが、前の客の退店が遅れ、10分ほど外で待った。 先ずは珍味の海鼠腸(このこ)(海鼠の内蔵)の茶碗蒸し。ビールが進む(が、最初から日本酒にすべきだった)。 続いては九絵と春菊を唐揚げにするという珍しい料理。 松葉蟹の蟹真薯の椀は、蟹が贅沢に盛られており、口の中で儚く解れる。出汁の味はやや濃いめ。 カワハギの肝は、ポン酢で味を整えている。背徳感の有る食感。 脂が程よく乗った鰆は、酢で締めた後に藁で燻って、複雑な味を生み出している。 再び蟹で、香箱蟹の飯蒸し。 焼いた鴨と銀杏。焼き方のせいか、鴨は瑞々しさが失われている感じがした。 焼いた河豚の白子にキャビアが乗っている。食感が良い。 月の輪熊は、しつこくはないが大部分が脂身だった。 締めは蕎麦で数種類から鴨のつくねの温かい蕎麦を選んだ。出汁はかなり濃いめ。町場の蕎麦屋との差別化が欲しい。 魚介類はかなり好みだった。肉は個人的な好みからやや逸れていたが、個性的だった。 大将はとても朗らかで、配膳まで自分で手掛ける。この店は来年1月末で閉店し、新店に移るそうだ。新店の内容は未だ決まっていないそうだが、質の高い食材を大量に仕入れるのが難しくなってきている現状を鑑み、(テーブルを無くしてカウンターのみにするなど)規模を小さくするみたいだ。
2023/12訪問
1回
赤坂 詠月(えいげつ)は、その名の通り、赤坂の繁華街に在る。 4人掛けのカウンターとテーブル2卓という小さな店を、調理二人(大将と弟子)、接客一人(女将)で回している。内装は簡素で、内装より味で勝負する店だ。 突き出しは、冷製の浅利やトウモロコシなど。夏に相応しい爽やかな出だし。 蒸した鰻の椀。鰻は上質で、椀は薄口ながらとても上品。 鯛、貝類、烏賊、雲丹などの刺身も堅実な味。 会津の酒「寫楽」(しゃらく)は、スッキリとした切れの良い味。 琵琶湖の稚鮎は、火の通しが適切。 鮟肝とイクラの巻き寿司は、滑らかな食感が素晴らしく、とても印象的だった。 蒸した鮑は、柔らかさと弾力という矛盾した食感が両立している。素材から自然に取ったという出汁も見事。 会津の酒「宮泉」の味は、僕にとってはやや強く感じられた。 鱧の鍋は、卵や牛蒡でとじており、優しい味わい。 和食店ながら、ここで牛肉が供される。焼き加減も良く、味噌味のソースや蓮根が良いアクセントとなっている。 牛肉で終わりと思いきや、更ににもう一皿供された。蟹を蒸した上で、解して冷製にした品。蟹の身に凝縮感が有り、温度感も的確で、出色の逸品だった。 胃が限界に近かったが、ご飯も頑張って食べた。ご飯にシラスや雌株を掛けた珍しいものだが、これが意外と美味しい。 甘みは、和食店らしい優しい味わい。 我々は大将の直ぐ側の席だったので、自然に大将や女将と会話を交わすようになったが、大将はとても真面目そうな性格。 店構えは簡素だが、味は本格的かつ上品。
2022/08訪問
1回
「築地すし Omakase」は、その名の通り、旧築地市場の近くに在る鮨屋。この辺りは早い時間帯で閉まる店が多いが、この店は例外的に夜も営業している。長めのカウンターに加え、テーブル数席、更には個室まで有り、広い店だ。カウンターはかなり先まで予約が入っており、テーブル席を選んだ。テーブル席は2階にあり、大将達が鮨を握っている様子を見ることはできない。 簡素で気軽な内装。コースが品数に応じて二種類あり、品数の少ない方を選んだ。それでも摘み、握りともに、品数はかなり多い。品数が多いので、感想は全般についてのみ。 高級店に比べてかなり料金が安いが、予想以上に美味しかった。高価な鮪の大トロなどに頼らず、手軽な値段の素材を使いながら満足度の高い鮨を供している。握りは小さめ。シャリはやや硬めで、粒が立っている。酢の効かせ方は控えめ。種は熟成させているものが多いが、熟成のさせ方も良い。面白い演出も有り、燻製にした鯖の握りは、ガラスのクロッシュみたいな蓋をしており、客の前で5分ほど燻って香りを付けている。摘みも工夫を凝らしており、長芋の摺り下ろしの滑らかな食感が印象に残っている。 接客の気遣いも良かった。プライス パフォーマンスがとても高い店だ。
2023/02訪問
1回
「鮨 和さび」は四谷三丁目の鮨屋だ。駅の直ぐ側に存り、8人掛けのカウンターのみ。開店したのは10年ほど前だが、2年前に改装し、店内には清潔感が漂う。ジャズ ピアノのBGMが流れていた。大将1人、弟子1人、接客1人の3人体制で店を回している。 握りの間に魚介類の摘みも挟んでくる。舎利は柔らかめで、かつ酢の利かせ方は穏やか。控えめな個性の舎利だ。 牡蠣の摘みは、出汁がミルキー。 蕗のとうの茶碗蒸しは、微かな苦味が心地良い。 牡丹海老の握りは上品な甘味。煮詰めた味噌も美味しい。 子持ち烏賊の摘み。長年使い続けているタレが染みている。 鰻の摘みは、脂の乗った素材を香ばしく焼いている。 カワハギの握りは、弾力感が有り、肝が味に変化を与えている。 トロの握りは脂の乗り方が上品。 小肌はかなり大きく、酢を効かせすぎないので食べやすい。 鮪の赤みも上質。 焼いた喉黒。鮨屋では余り見ない素材だが、脂の乗り方がとても良い。 鯵の握りは、青味魚の程よい香り。 リゾット風のご飯は、白トリュフで味付けしており、艶めかしい味。 雲丹の握りは、口の中で溶けていく。 車海老の握りは、大きな種が立派。 ここでカラスミが供され、酒が進む。 穴子の握りは柔らかく、口の中で解れていく。 かなり満腹になったが、追加で北寄貝の摘みを頼んだ。適度な弾力。 デザートの代わりに何と梅干しの握りが出てきた。甘さと酸味が料理の最後を締めくくる。 舎利の個性は控えめだが、種は全般的に上質。大将は、握る前に種に細かく包丁の切れ目を入れている。大将は明るい性格で、適度に冗談を言いながら、客を和ませる。気楽に美味しい鮨を楽しめる。
2023/03訪問
1回
旬恵庵あら垣(しゅんけいあん あらかき)は築地の天麩羅屋。8席のカウンターのみで、客全員が同じ時刻に一斉に食べ始める。 天麩羅以外の料理が何皿か供されてから、野菜の天麩羅、魚の天麩羅、そしてデザートという流れ。品数が多いので、感想は一部に付いてのみ。 先付けの蛤の冷製茶碗蒸しは、蛤の旨みが濃い。 鱧の椀は、出汁が見事で潤菜が食感に変化を付けている。エンドウのお凌ぎと併せて。 天麩羅を揚げる前に、その日の食材がプレゼンテーションされる。 野菜の天麩羅は、アスパラガスが特に良かった。皮も付けて食べさせるが、火を通りやすくするために、アスパラガスに細かい切れ目を幾つも付けている。カウンターからその様子が見られるが、下ごしらえにかなり手間が掛かっている。 伏見唐辛子の天麩羅は、思ったほど辛くなく、爽やかな味。 海老の天麩羅は、自然な甘みが引き出されている。 大葉を巻いた烏賊の天麩羅は、弾力感が有る。 穴子の天麩羅は、身が大きく、柔らかな食感。骨煎餅が変化を付けている。 ここまでの天麩羅は、全般的に揚げ方が軽く、精妙な味。 天丼は、小さな海老が折り重なったような独特の見た目。弾力感が素晴らしい。今までとは一転して、タレが濃厚な味を生み出しているが、この変化が効果的。 デザートの黒糖のプリンは、少量ながら濃厚で、印象的な締め括りとなった。 前菜も上質で、天麩羅の揚げ方は精妙。大将は、饒舌ではないが、適度に客に話しかけてくれる。良い店だと思う。
2023/06訪問
1回
珀也(びゃくや)は神楽坂の和食店だ。店名は大将の名前かと思ったが、(陽の沈まない)白夜をもじったそうだ。 簡素な内装。8人掛けのカウンターのみという小さな店を二人で回している。ピアノのジャズがBGMとして流れている。品数の少ないコースを頼んだ。 最初は上質なイクラがご飯の上に載っている。滑らかな食感。 走りだという銀杏は、上品でビールのおつまみに良い。 鯛の椀は、蕎麦との組み合わせで、堅実な味。 鰹の刺身は、辛子や塩で食べるが、これが中々のもの。 揚げたての茄子の煮浸し。万願寺唐辛子と組み合わせて。素材自体は淡白な味だが、恐らく意図的に出汁を濃いめにしてある。 鰻は本日最も印象に残った。蒸すのでなく焼いてあり、皮がクリスピーで香ばしい。 蛸や南瓜の椀。蛸は弾力があるのは良いが、噛み切るのに苦労したので、もう少し薄く切った方が良いと思う。 最後のご飯には、おかずとして焼いた鮭が添えられているが、意外と量があって、満腹になった。 大福餅にシャインマスカットを詰めたデザートは、上品な甘さ。 付かず離れずだが、適度に客達の会話に加わってくる接客は好印象。 コロナ禍の2020年に開店したそうだ。少しずつ客足が伸びてきているのは何よりだ。
2023/09訪問
1回
明寂(みょうじゃく)は麻布の和食店だ。 8人掛けのカウンターと個室が2室で、意外と大きい。カウンターはかなり広く、隣の席との間隔は十分。カウンターは最後の仕上げや皿出しの為に使われ、調理の過程の大部分は隣の厨房で行われる。夜の2回転性で2回目に臨んだ。 品数が多いので 、感想は全般についてのみ。 出汁は鰹節や昆布から引かず、それぞれの皿の食材から水のみで引いている。出汁はとても上品かつ繊細。ご主人は理由を二点挙げていた。一つは、鰹節や昆布の生産量が減ってきている現状への対応(サステナビリティ的な観点か)。もう一つは、鰹節や昆布から引いた出汁は、出汁の味が強くなり、素材の味とぶつかってしまうとのこと。 気に入った皿の一つは鰤大根。鰤は皮にのみ火を入れ、程よく脂の乗った身はレアに近い卓抜な火入れ。 香箱蟹も良かった。外側を少し揚げており、中に解した身が詰まっている。 出汁を用いていない皿も、とても上品かつ繊細なので、食べ手の理解力が試される。僕の理解力は足りないと感じた。 接客は付かず離れずだが、必要な時には直ぐに対応してくれ、水準が高いと思う。
2023/11訪問
1回
神楽坂まる富は、神楽坂の坂を登り切った所に在る和食店だ。 カウンターと個室2室の店内は、簡素だが凛とした雰囲気。我々は調理の様子が見えるカウンターを選んだ。ジャズが低い音量で流れている。 座附 冷やし茶碗蒸し 海胆めかぶ花穂 美味出汁ジュレ 海胆やめかぶなど複数の食材が、滑らかかつ微妙に異なる食感を紡いでいる。 椀 清汁仕立て 毛蟹真薯姫竹 木の芽 出汁が良かった。薄口ながら印象的。丁寧に解した毛蟹真薯の食感も素晴らしい。 造里 金目鯛 アオリ烏賊 鰹 藁焼き 行者大蒜 造りは二皿供される。 金目鯛とアオリ賊は素材の質の高さを感じさせる。 鰹は、藁焼きする様がカウンターから眺められる。かなりの量の藁を使って、かつ焼きすぎないように気を付けながら、香りを付けていく。行者大蒜の苦味が、味に複雑さを加えている。 焚合せ たい子 筍 若布 鯛の稚魚は初めて食べた。上品な味わいが凝縮されている。筍は軽く揚げて、食感に変化を加えている。 揚肴 岩手 天然山菜 タラの芽 こしあぶら こごみ 乾略富来 檸檬 幾つかの山菜を揚げて、苦味を楽しむ。ミシュランの星を取ってから外国人観光客が増えたが、山菜を説明するのに苦労すると、女将は苦笑いしていた。 肉肴 和牛ヒレ肉 炭火焼 山椒たれ 花山椒 しどけ酢味噌和え 親方(と女将が呼んでいた)の実家が精肉業を営んでいるそうで、そこから仕入れた上質な牛肉。花山椒の苦味や香りが味に変化を与えている。 食事 鯛 炊き込みご飯 香の物 味噌汁 鯛を贅沢に盛り込んだご飯も美味しい。食べきれなかったので、折に入れてお土産にしてもらった。 デザート くず餡玉 さくらんぼ 枕杷 デザートはアッサリとした味。 料理は奇を衒わず、正攻法で上質。手数が掛かっている。女将の接客はとても丁寧。
2024/05訪問
1回
「浩也 東京前」は、「鮨 浩也」の大将だった本橋拓也氏が、2024年春に開いた新たな店だ。店名の「浩也」はご自身の名前と父君の名前から一字づつ取り、「東京前」は江戸前を進化させるという意味を込めている。 最近系列店が幾つかできたが、それらの関係は以下のようになる。 「鮨 浩也」: 元々の鮨屋。2024年春から、かつての二番手が一番手に昇格し、価格帯を若干下げた 「浩也 東京前」: 2024年春に開店。創業者は現在こちらを仕切っている。鮨も出すが、摘みの比重が高くなっている 「立喰い鮨 浩也」: 2024年春に開店。立喰いにして、手軽な価格を実現した鮨屋 さて、「浩也 東京前」。黒っぽい灰色を基調色とした内装でクラシカル音楽がBGMとして流れており、通常の鮨屋とはかなり異なる雰囲気だ。 鮨の数は減ったが、やはり美味しいと思う。種も良質だし、舎利も良い。舎利は硬めに炊き上げ、酢をやや強めに利かせている。空気を多めに含んでおり、鮨を付け台に置いてから、鮨が少し下に沈む。脂の乗った鯖を炭で燻って香りを付けた一貫は、特に印象的だった。大きな赤貝や脂の乗った金目鯛も良かった。 摘みの量が増え、むしろ摘みが主役となっている。 トマトや潤菜をジュレ仕立てにした品は、初夏に相応しい爽やかな味。 春巻は皮が薄く食感が軽い。 白子に中華料理風の麻婆を和えた品まで出てくる。 個人的には、鮨をもっと食べたかったとも思うが、摘みも魅力的だ。「浩也 東京前」は、摘みに凝った鮨屋というより、美味しい鮨も供するイノベーティブ料理店と言えよう。
2024/06訪問
1回
店は西麻布の交差点の近くにある。店内はカウンターと個室があり、この日は個室に通された。流行っており、夜2回転の営業だ。 肉を主体としつつ、他の色々な素材も提供するというスタイルで、皿数は13皿にも及ぶ。店員に聞いたところ、日本酒よりワインを選ぶ客が多いそうだ。確かにワインに合う味だ。 肉は神戸から、魚などは豊洲から仕入れているそうだ。肉の質は高く、刺しが過度に入らず赤身の感覚を味わえるのが良い。全体としてかなりの分量の肉を食べるが、調理法が多彩で、飽きることが無い。
2019/09訪問
1回
太月は表参道の表通りから少し奥まった所に在る。店内はカウンターと個室3室だ。コースを頼み、シャンパーニュ(Bruno Paillard)のグラスに続いて日本酒も頂いた。 先ずは薄い椀で出汁が供され、この店の味の基調を知る。 最初の皿は蓮根餅。供された瞬間に生姜の良い香りが立ち込める。感触はモチモチしており、香箱蟹を使った餡のトロミに陶然とする。 次の前菜は、春菊の白和え、海鼠、金柑、押し鮨など複数の品が盛られており、それぞれに丁寧な仕事が施されている。 椀は出汁が見事だ。スッポンを練り込んだ豆腐や軽く焦げ目を付けた下仁田葱などの具も美味しい。 刺身は、軽く燻った金目鯛が印象に残った。 鰆の焼き物は、味噌の甘味が良いアクセントとなっている。 鰤は標準的な味。 次に供されたのは「のりたまうどん」。文字通り、うどんの上に濃厚な卵、その更に上に磯の香り高き青海苔が掛かっている。意表を突く組み合わせだが、これが癖になるような美味しさだ。 締めの直前は猪鍋。猪は癖も少なく、出汁も濃厚ながら上品だ。これに濃厚な卵の黄身を好みに応じて掛ける。下世話と洗練の狭間で絶妙なバランスを取った逸品だ。 締めの金目鯛のご飯も美味しかったが、かなり満腹になり、半分程は包んでもらった。 和食店のデザートは淡白なものが多いが、この店のデザートはフランス料理のそれのようだ。アイスクリーム最中や栗のケーキが、ハッキリとした印象を残す。 店員は愛想が良く、気軽な雰囲気で美味しい食事を楽しめる。
2020/12訪問
1回
3回目の訪問。 津の守坂 小柴(つのかみざか こしば)は、曙橋の小さな和食店だ。大将を含めて三人体制で回している。8席のカウンタが満席だった。 鯛を蒸した餡掛け。上に乗った山葵を解すと、良い香りが立ち込める。百合根も加わっており、渾然一体の食感が素晴らしい。 虎河豚の刺身。若干燻った河豚は、心地良い弾力感。肝を添えたぽん酢に付けて食べる。 めじ鮪の刺身は、山葵でなく辛子に付けて食べるが、この相性が意外と良い。 福島の「おだやか」という酒は、スッキリとした飲み口。 金目鯛の椀。金目鯛の皮を微かに焦がした焼き方が見事。出汁も上品。 香箱蟹は、蒸して身を解した上で、再度殻に詰めている。柔らかく、かつ凝縮感のある食感。 八寸。干柿でなんとバターを挟んでいる。和食に囚われない発想。この品や牡蠣の燻製などは、酒の当てにもってこい。 海老芋の椀は白味噌が上品。 モロコの揚げ物は、パリッとした食感が見事。 焼き物の魚は三種類から選べた。食べる方としては嬉しいが、食材の管理は大変だろう。僕が選んだキンキは、少し脂の乗った素材を、皮に微かに焦げ目が付いた見事な焼き方で焼いている。 スッポンの鍋。スッポンの身はトロリとした食感。出汁は上品かつ存在感がある。 ご飯は選択肢が幾つかあり、僕は白魚の土鍋を選んだ。 デザートは果物のゼリー。和食店にしては甘味が強めで、個人的にはこういう味が好みだ。 この日のコースは量が極めて多く、後半はキツかったが、美味しかったので頑張って完食した。品数をもう少し減らしても、満足度は変わらないと思う。 素材も調理法もとても良く、満足した。 半年振り2回目の訪問。 津の守坂 小柴(つのかみざか こしば)は、6席のカウンターと一卓のテーブルのみという小さな店だ。二種類のコースの内、品数の少ない方にしたが、量は十分だった。 お茶に次いで供されたカマスの椀は上品な味わい。 フグの白子はネットリとした食感。下に敷いたお粥との相性も良い。 刺身が二皿続く。 あん肝と微かに炙った虎ふぐ、そして鰤も上質。 椀の出汁はしみじみとした味わい。 メヒカリの揚げ物は、軽い食感が出色。 八寸は様々な品が楽しめる。 穴子の焼き物は適度に脂が乗りながら、カリッとした食感。 月の輪熊の椀は、控えめな野趣が丁度良い。 ご飯に次いで供されたデザートは、芋とアイスクリームの組み合わせの妙。 料理は全般的に堅実な美味しさだ。 津の守坂 小柴(つのかみざか こしば)は、6席のカウンターと一卓のテーブルのみという小さな店だ。二種類のコースの内、品数の少ない方にしたが、量は十分だった。 最初の皿は、蟹の身や雲丹にジュレを掛けたもの。有りがちな品だが、茹でて冷やしたホワイト アスパラガスを添えているのが斬新だ。 椀は燻った金目鯛と椎茸。燻った香が良く、出汁も上品。 造りが二皿続く。最初は上質なマコガレイと鮟肝。 続くイサキは、軽く炙っており、卵の黄身を溶いた醤油に付けて食べる。余り見かけない食べ方だが、炙ることによりイサキの脂が更に美味しくなり、黄身との相性も良い。 新鮮そうな蛍烏賊が三杯出てきて、刺身で食べるのかと思いきや、その横に熱した石が置かれる。蛍烏賊を片面ずつ15秒程石の上に置くと、微かに煙が立ち上り、味噌が溶け出してくる。この味噌が素晴らしい。視覚的にも楽しい。良くぞ、こういう調理を思いついたものだ。 空豆、海老、じゅん菜、平目のちまき寿司などの八寸も上品。 稚鮎は焼いた後に軽く揚げており、複雑な食感を生み出している。 肉厚の太刀魚は、焼いた後に軽く炙っているのが効果的。 アイナメは、葛餡仕立てだが、この餡もとても良い。 ご飯は、白米と親子丼の二種類があり、後者を選択した。卵のトロミに陶然とする。 デザートは複数の果物のジュレ仕立て。なんとトマトも入っているが、違和感の無い自然な甘さ。 料理は素材も良く、また他の店では見かけないような少し変わった調理法も上手く用いている。再訪したい。
2022/12訪問
3回
「炭火割烹 いふき」は祇園の和食店だ。黒い壁の伝統的な建物。店内はカウンターと個室が数室。我々は個室に通された。 先ずは少しずつ五品が供される。フランス料理のアミューズ ブーシュみたいな感覚だ。海老にカダイフ(中東の細い麺)を纏わせて揚げた品は、サクッとした食感と味噌のねっとりとした食感の対比が出色だった。炭火で焼いた鶉は、旨味が凝縮されている。蟹も上質。 続く造りは、グジと鮪の赤身。グジは表面を軽く焼いているのが効果的だ。醤油と塩の二種類で食べるが、塩も意外と良く合う。 鱧と松茸の椀は、上品だが淡白過ぎない出汁が出色。 伊勢海老は、海老の味噌と白味噌を合わせたソースがとても美味しい。 茄子と雲丹の皿は、茄子を軽く揚げてから焼いており、複雑な食感だ。これが雲丹と良く合うのが驚きだ。 焼き物は、4-5種類から二品選ぶ。僕はスッポンと喉黒を選んだ。 スッポンの焼き物は初めて食べた。上質な焼き鳥みたいな感じで、旨味が凝縮されている。 喉黒は柔らかいながらも、適度な弾力が有り、見事な焼き方だ。 焼き物は、真空パックで水分を抜いた後に炭火で焼いているという。 口直しの鮎の素麺は、サッパリとした感じ。 この後のご飯には、揚げた鱧とイクラが添えらている。ご飯の炊き方もとても良く、満腹に近かったが完食した。 甘味は二種類。数種類の葡萄に蜂蜜を掛けた品も、黒糖を乗せたアイスクリームも上品な甘さ。 板長は、ずっと和食の世界で生きており、他分野での修行歴は無いそうだが、和食の伝統に固執せずに、新たな要素や技法を積極的に取り入れている。和食を前進させながらも、完成度が高い。 接客はとても丁寧で、好感を抱く。
2021/09訪問
1回
料理は素材も調理もとても良い。出汁が見事。適度に気軽な雰囲気の中で、食事を楽しめる。 山玄茶(さんげんちゃ)は、祇園の和食店だ。 8人掛けのカウンターに加えて、個室が二つ在る。我々はカウンターに通された。 先付けは、滑らかな豆腐と弾力のある鮑とゼンマイの食感の組み合わせ。 走りの鱧の碗は見事だった。出汁は薄口ながら印象に残る。梅肉の酸味を加えた鱧も蕗も良質。 平目、烏賊、蛸などのお造りは、素材がとても良い。三種類の薬味で食べるが、その内のマスカルポーネが良く合うのに驚いた。 お勧めされた島根県の溪という酒は、切れと深みが両立しており、気に入った。 鰹のタタキは、身がキラキラ光って美しい。辛子と紅葉おろしの二種類の味付けで楽しむ。 餅米みたいな食感のご飯に乗せた喉黒は、適度な脂身。 鮎は出色だった。身が小さく稚鮎かと思ったが、琵琶湖(大将は滋賀県出身)の鮎は成魚でも小さいとのこと。微かな苦味が心地良く、骨まで難なく食べられる。山菜から作ったという緑のソースも鮎の味を引き立てている。 八寸は、鯛のちまきや蟹真薯や空豆や玉子など様々な品が楽しめる。 巻き寿司は、鮪の漬けと雲丹とイクラのとろける食感に陶然とする。 ここで、ホワイト アスパラガスの揚げ物という変化球が投げ込まれる。天麩羅専門店並みの揚げ方。並んだロースト ビーフも美味しい。 最後の鍋も素晴らしかった。蛤や筍やワカメが良質で、花山椒の上品な辛味が効いている。何より出汁が見事。 ご飯には色々な薬味を掛けて、味の違いを楽しめる。最後はご飯に濃厚な玉子を掛けたが、これは背徳感のある食感だ。 甘味が数種類。先ずはマンゴーのゼリーと苺。マンゴーのゼリーは、和食としては濃厚で、印象に残る。苺はそのまま出すのではなく、一手間掛けて周囲にゼリーを塗っている。 腹に余裕が有れば、更に甘味を追加できる。蕨餅とヨモギは上品な甘さ。最後の水羊羹は驚くほど柔らかい。締めは抹茶で。 接客は親しげで、積極的に話しかけてくれる。 料理の質を鑑みると、値段は手頃。 山玄茶(さんげんちゃ)は、祇園の和食店だ。 6人掛けのカウンターに加えて、個室が二つ在る。我々はカウンターに通された。 先付けは蟹や雲丹の酢の物。酢がとても美味しい。 煮物は鱧と帆立しんじょうと松茸の椀。出汁の味と香りが素晴らしい。 烏賊や鯛の造りは、素材の質が高く、弾力感のある食感だ。 戻り鰹のタタキは、辛子とぽん酢の二種類で食べる。微かな燻り方が適切だ。 鮑と餅米は、トロミのある出汁との食感の組み合わせが見事だ。 マナガツオの幽庵焼きも上質。 すすきなどで飾った八寸は見目麗しい。 変化球として投げ込まれた鮪の鮨は、鮨専門店に匹敵する出来。 大きな葉っぱで蒸し焼きにした牛肉と松茸と銀杏は香り高い。 炊き合わせは出色だった。冬瓜の茶碗蒸しだが、中にはフカヒレが入っている。滑らかな茶碗蒸しに、フカヒレの繊維感が変化を与えている。 白米に加えて、鰻の佃煮お茶漬けも頂いたが、これらも中々のもの。 甘味は二皿。 最初の皿はシャイン マスカットとオレンジのゼリー。ゼリーは極めて滑らか。 最後の水羊羹は驚くほど柔らかい。 接客は親しげで、積極的に話し掛けてくれる。 料理の質を考えると、価格は手頃。自宅の近くだったら、しばしば通いたいところだ。
2022/05訪問
2回
御料理 はやしは正統的な和食店だ。 電話の予約の際にコースを決める。コースの種類はかなり多く(5種類位有ったと記憶している)、電話口で金額のみ言われても良く判らないので、中程の価格のコースを選択した。クレジット カードを使えないのは不便だ。 一軒家の店は、1階がカウンターで2階に個室が幾つか有る。我々は個室に通された。 突き出しは柿の白和え。微かな甘味。 続く皿は、海老、銀杏、烏賊など様々な素材が盛られている。 「月とスッポン」と題された椀はかなり良かった。スッポンの出汁は上品。「月」は滑らかな卵豆腐。豆腐の中にスッポンの身が入っている。 筋子は酒飲み用だろうか?この店は、コロナ ウィルス禍での酒類提供自粛要請を守っているので、筋子を酒とともに楽しめないのが残念。 湯葉と烏賊も堅実な味。 造りは鱧、平目、海老、トロなど。どれも素材の質が良い。 続く蕪の椀は出色だった。柔らかく煮た蕪、少しトロミを付けた出汁、周りに浮かべた菊は素晴らしい組み合わせだ。 続いて鱧が鮨でも供される。 京都の天然の鮎はカリカリに焼かれており、今にも泳ぎ出しそうな姿。 揚げた芋は、優しい味わい。 鮑は意外にも酢のものとして供される。個人的には、鮑は酢の物には向かないと感じた。 やや腰のある素麺と冷たいお茶漬けで締める。 甘味は二皿供される。梅は酸味と甘味のバランスが適切。 蕨餅はとても柔らかい。 料理は新規性やインパクトを追わず、上品で柔らかな味だ。分量は意外と多い。 価格は割安と感じる。