maffinさんが投稿した京味(東京/新橋)の口コミ詳細

The days of wine and roses

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閉店京味新橋、内幸町、汐留/日本料理

1

  • 夜の点数:5.0

      • 料理・味 5.0
      • |サービス 5.0
      • |雰囲気 5.0
      • |CP -
      • |酒・ドリンク -
1回目

2010/07 訪問

  • 夜の点数:5.0

    • [ 料理・味5.0
    • | サービス5.0
    • | 雰囲気5.0
    • | CP-
    • | 酒・ドリンク-

一夜かぎりでも

尊敬している年上の女性に一度お食事しませんか、と声をかけたところ、お店のアレンジをしてくださるとのこと。
お気に入りの和食の店、と聞いたので嬉しいな、と思っていましたがその後「京味」でと聞き正直度肝を抜かれました。ミステリアスな人だなあ・・・。

さて当日。
お店にご一緒すると大変丁重なお出迎え。
カウンターの中、お弟子さん多いですね・・・そして噂の西さんがご挨拶。
うちとけた雰囲気、お連れくださったくだんの女性はかなりの常連さんの様子です。私はちょこっと緊張気味ながらも、これから始まるお料理の数々に胸がときめきます。

「飛切り」という大人っぽい味わいのお酒をいただきながらお料理は先付けからスタート。
今日は特別な日になりそうだから、しっかり全て記憶しておこう、
と思いつつ、最初のお料理に箸をつけた瞬間から
記憶が飛びました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

飛んだ。

お酒のせいでなく、お料理の素晴らしさで完全に脳のある部分が「飛んだ」感じ。

・・・・・。

で終わってはレビューにならないので記憶の濃淡の中からたぐり寄せるように断片を集めてみると。

先付けの一番右、最初のお料理。
若輩者なので確かではないのですがインゲン豆のもっと瑞々しいような緑の豆の間にほんのり挟まれたおそらく、イカの塩辛。
それだけなのに、五感をすべて刺激され、大切にしまってあった記憶を呼び覚まされるような鮮やかな瞬間。
プルースト・・。

そして続いたズイキの吉野煮の鮮烈さ。
熱々の吉野葛に抱かれた熱々の出汁のなんたる力。そしてそれをやさしく受け止めるズイキのシャキシャキとした若々しさ。美しい生姜の香り。

この後はもう、順番も記憶も定かでないのですが、それでもなんとか記憶をとりとめようとする。

たっぷりのウニを冷たくした茄子にのっけたの。

そして鱧の湯引きと炙り焼き・・・。
言葉もない。
今まで食べていた鱧ってなんだったんだ???
鱧ってこんなにふわっと、豊かな味わいだったんですね。
そう口にしたら、西さん、「これが普通なんです」
「普通」=「最高の最高」
最近の若者の言葉みたいですね(笑)

鮑のカリントウ。
鮑を細く切って軽く衣つけて揚げたもの。おいしくって笑いがとまらなくなる味。

お造りは鯛をあこう(石茂魚)。
特にあこうの洗いのひらひらとした、しかし凝縮された旨み、素晴らしいです。

まる鍋。鱧しゃぶとの選択でしたがまる鍋をお願いしました。
当然ながら熱々の澄んだ、コクのあるスープ。スッポンのゼラチン質がほんのり骨から離れる瞬間の快感。しっかりとスープを吸った葱の表面の香ばしさ。

鮎の塩焼き。
箸をいきなり身の部分につけた瞬間、西さんが「ああ、見てられないな」と思ったのか、「鮎はこうやって骨をとるといいですよ」と御自ら骨をぬいてくださいました。
若輩ものでほんとに恥ずかしいんですが、とはいえ西さんの優雅な骨抜きを眺めるのもまた至福。
やり方はあまりに簡単にみえますが、実にたおやか。食通だったら当たり前のことなのかもしれませんが私はこういう骨抜き初めて見ました。
尾っぽを身の側に軽く折って、ちょこちょこっとやってささっと骨を抜いてくださった。
色っぽいなあ。
次回鮎をいただく時にやってみよう、と思うけれどきっと再現は難しいことでしょう。
こうやっていただいた鮎の味は今までのどの鮎の味わいとも違っていました。

蛸の子、小芋、麩の炊き合わせ。お料理の最初の頃は薄味気味(=普段から薄味好み私にとっては普通の味付け)でしたがこちらはしっかり味がしみこんでました。

次に鱧寿司。
ちょうど祇園祭りの時期だからとのこと。ご飯がほろっ。鱧はふんわり、ほんの少しあったかいままで、冷たいご飯と一緒にいただくとなんてやさしい味なんだろうと感じる。
この辺でお腹ははちきれそうですが、
そのあとさらに鮭はらすご飯がでてきて、これもまた特に皮のぱりっぱり部分が笑っちゃうほど美味しい。

最後は西さんが目の前で丁寧に作ってくださった葛きり。
もう、なにか拙いコメントするのがはばかられるほどの境地の葛きり。

。。。。。
などと、意識が飛んだ、といいつつ確かに少しづつ鮮烈にフラッシュバックする味覚の断片。

今までありがたくも美味しいもの沢山いただいてきたけれど、食べログ書くようになって初めて
「私ごときが評価するなんておこがましい」という気持ちになりました。
うーん。結局身銭をきることもなく、気持ちの上での葛藤もあるけれど、でもこの感動をやっぱり☆に表しておきたい気持ちがまさるので謹んで満点つけさせていただきます。

それにしても、ここの再訪はあるのかないのか。
私自身ネット時代にどっぷり浸かってますが、万年筆で原稿用紙に書く美文のような、こういうお店がまだこの東京にあるんだなあ。と思いました。
大人の、本当に料理を楽しむ度量のある人達が通う、本来は常連のためのお店なんだと感じます。私みたいな新参者がひょっこり現れてはしゃぐ店ではないだろうと。
とはいえ、そういう、昔のいい時代の文化の残り香みたいなものを一晩だけでも感じ取ることができただけでも相当な果報者だと思う夜でありました。

2010/07/15 更新

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