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1回
夜の点数:4.4
2007/02 訪問
夜の点数:4.4
一周年企画第三弾―― 四十一歳、居酒屋へ ――
2007/02/17 更新
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東京メトロ千駄木駅から三崎坂に向かい、地元じゃあまり評判の芳しくない蕎麦屋大島屋の角を左へ入ると畝々とのたうつような路地――通称「よみせ通り」――が続いていて、やがて控えめな提灯の明かりが右手に目に入るだろう。
「岩手地鶏と沖縄料理」――御店主が岩手出身、奥様が沖縄出身と仄聞した――が当店の表向きの看板だが、私の一推しは「刺身三点盛」\1300。黒板に5種類ほど記された「その日のおすすめ」の刺身\750~950程度からお好みで選ぶのだが、これがなかなかクオリティの高いもので、「居酒屋」でいただくものとしてはかなり上級の部類。
「おそらく」御店主の目利きで安いところをうまく仕入れ、熟成の後、冷凍してから解凍(一度だけ解凍しきれていないことがあった)したものだと推測するが、鮪赤身(あご)・きびなご・のれそれ・真蛸・マンボウ・ツブ貝等、客を飽きさせず、かつ、庶民的な値段での提供に私の満足度は高い。
器には、刺身の他に、ツマ・大葉・岩海苔?・本山葵が載り、最後に季節の花が添えられ――先日「梅」が添えられたような気がしたが、御亭主に尋ねたら、「木瓜」(私のことですな・笑)だった――、見た目にもなかなか美しい。私は、いつも「花」以外は全て平らげることにしている。邪道かもしれないが、醤油の代わりに塩分を少し含んだ湿り気のある海草を少しだけ魚につけていただくと、旨みがいっそう引き出される様な気がする。
刺身以外では、鯨のサーロインステーキ\1300、真鱈子\480(これを食らうと今まで食っていた「スケトウダラ」の子は一体何だったのかという気にさせられる)、地鶏つくね焼\180、島豆腐\350等が、酒の肴によく合う。
訛の残る御店主の語り/人柄は朴訥としており、「誠実」そのもの。その人徳が、供される料理にも反映されており、最高の「旨味調味料」として華を添えていると感じるのは私だけだろうか。
店内装は典型的な居酒屋のそれであり、カウンター10席程度、小あがりにテーブル2つの小さい店で、TV放送が流れており、「地域密着の店」――観光客を目当てにしたこのあたりでは珍しく「日曜定休」である――だが、遠方からのファンも多いと仄聞する。
難を言えば、地元民と思しき方々――客として当店にいた「五十蔵」の女将さんや「町人」のご亭主とバッタリ出くわしたこともある――で混み合っていることがままあり、一見の一人客には居心地が悪いこともあろうかと思うが、毎年この時期は異動シーズンで年内に比べると遥かに空いているとのこと。午後1時まで営業しているため、この周辺で漂流した呑兵衛には今の時期に伺うことをオススメする。
例によって、余談、というか、与太譚:
サブタイトルを思いつくのに結構時間がかかった。「路地」「みさき」とくれば、夭折した某純文学作家の芥川賞受賞作が誰でも頭に浮かぶであろう。だが、何冊か文庫で持っているのだが、完読の試しなし。彼の作品には、文庫は似合わないってことなのだろうが、単行本を買うだけの空間的余裕がない。